「自分独自の微妙なニュアンス」を理解する

 前回、「自分の発達特性について知りたい場合、『自分独自の微妙なニュアンス』を振り返ることが重要」と述べました(https://tokyocare.jp/?p=2272)。今回はそのことについてもう少しくわしく説明します。

 「自分独自の微妙なニュアンス」があまり理解できていない人は、

「よくわからないけれど、自分は人づきあいが苦手だから、多分ASDなのだろう」

「よくわからないけれど、自分はうっかりミスが多いから、多分ADHDなのだろう」

 といったように、漠然と自分を「ASD」「ADHD」と見なすだけになる場合が多いです。つまり、「自分の発達特性は、“具体的には”どのようなものなのか?」が理解できていないため、「ASD」や「ADHD」といったラベルを自分に貼るだけで終わってしまう場合が多いです。

 そして「自分独自の微妙なニュアンス」の理解が深まると、例えば以下のような、「ラベルを貼るだけではない、具体的な自己分析」ができるようになります。

「私は後先を考えず衝動的に動いてしまうことが多い。でも、人から言われたことはかなり気にするタイプだから、誰かから『これを守ろうね』とはっきり指示されたことを衝動的に無視することはほとんどないなあ」

 このように、単に自分を「ASD」「ADHD」と大まかにカテゴリ分けするだけではなく、より細かい「自分独自の特徴」がつかめると、苦手なことへの対策も立てやすくなります。例えば、

「私は人から言われたことを気にするタイプだから、仕事の手順を先輩に聞いておいて、聞いた内容を紙に書いて机に貼っておいたら、それを衝動的に無視したりはしないだろう」

 といった対策が立てやすくなるわけです。だから「たんなるラベル貼り」ではなく「自分独自の微妙なニュアンスの理解」が重要なのです。

 なお当センターでは、上記のような具体的な自己分析のサポートも行なっております。お困りの際はどうぞお電話下さいませ。

 ※ 本エッセイは継続的に更新されます。毎回、発達障害やそれに関連するお悩みをテーマとし、そのお悩みの理由や対処法を考える上で役立つ知識・考え方などをご紹介いたします。