「後悔しすぎ」を防ぐ方法

 前回、「後悔しすぎ」についての話をしました(https://tokyocare.jp/?p=2310)。今回はそれを防ぐ方法について述べます。

 前回述べた通り、「後悔しすぎ」は「失敗の記憶を意識しすぎること」によって生じる場合が多いです。これは言いかえると、自分の注意が「自分の頭の中」ばかりに向いていて、「現実の世界」には向きにくくなっている、ということです。
 このため、激しい後悔にとらわれないためには、「事実を確認すること」が役立つ場合もあります。事実を確認すると、自分の注意が「頭の中にある失敗の記憶」から「事実(=現実の世界)」に向き直り、「頭の中への没頭」を防ぎやすくなるためです。

 例えば、大事な会議に1時間以上の遅刻をしたことのある人が、その失敗の記憶ばかりに注意を向けて「自分はとてもだらしない人間だ」と後悔しているとします。その人が「自分はこれまで仕事で何回くらい遅刻したか」という事実に注意を向けて、例えば「1時間以上の遅刻はしたのはその1回だけ」という事実に気づければ、それだけで「自分は必要以上に激しく後悔していないか?」と思えるような場合もあります。

 そして、上記のような「事実の確認」は、単純な作業のようでいて、「頭の中に没頭しがちな人」にとっては案外難しいものです。「自分ひとりで事実の確認をしようとしても、気づいたらやはり頭に浮かぶ失敗の記憶に気を取られていた」ということもよくあるかもしれません。
 このため、事実の確認をひとりで行わず、頼れる人と話しながら行うことが効果的な場合もあります。相手と話しながら事実の確認を行うと、途中で自分の注意が「頭の中」に向きすぎても、相手がその注意を「事実(=現実の世界)」の方に引き戻してくれることが多いからです。

 もちろん、臨床心理士や公認心理師のような心理職の人と一緒に事実の確認をしても良いかと思います。当センターでもそのような事実確認のサポートも行なっておりますので、お困りの際はどうぞお電話下さい。

 ※ 本エッセイは継続的に更新されます。毎回、発達障害やそれに関連するお悩みをテーマとし、そのお悩みの理由や対処法を考える上で役立つ知識・考え方などをご紹介いたします。