続・知能検査の結果に違和感を持ってもいい

 前回、「知能検査の結果に違和感があるときは、その違和感を心理士や医師に伝えてもいいと思います」という話をしました(https://tokyocare.jp/?p=2373)。今回は、違和感を伝えることの意義などについて説明します。

 検査の結果を見て「何か納得できない」・「ふだんの自分の特徴が検査に表れていない感じがする」と思ったとき、そのことを心理士や医師などの支援者に伝えることは、「その違和感の原因は何なのか?」を一緒に考えていくきっかけになります。

 そして、違和感の原因として、「検査では調べられないような特徴がひそんでいる」ということはよくあります。このため、違和感を支援者に伝え、支援者と一緒にその原因を探れば、自分の特徴がいっそうくわしく見えてくることも多いです。

 ところで、今回なぜこのように「違和感があれば言ってもいい」と強調しているのかというと、「言ってはいけないのではないか?」と考えてしまう方々も珍しくないのでは、と思うからです。なんとなく「検査結果こそが絶対的に正しいものなのだ」と感じてしまって、結果に疑問を投げかけるのは支援者に失礼だ、と誤解している人も多いかもしれないからです。

 繰り返しますが、検査結果に違和感を持つのはおかしいことではありません。検査は人間の特徴の「一部」しか調べられないので、むしろ「検査結果だけを見て自分の特徴がわかったつもりになること」の方が問題なのです。支援者たちはそのような「検査の限界」を理解していますから、検査結果への違和感は遠慮なく話していただきたいと思います。

 もちろん当センターでも、「これまでに受けた検査の結果の、どこに違和感があったか?」についての振り返りなども行なっております。それは、検査を受けた方々がご自身の特徴をより正確に把握していくことを、しっかりお手伝いしたいからです。お困りの際はどうぞお電話くださいませ。

 ※ 本エッセイは継続的に更新されます。毎回、発達障害やそれに関連するお悩みをテーマとし、そのお悩みの理由や対処法を考える上で役立つ知識・考え方などをご紹介いたします。