知能検査を適切に活かすために知っておいてもらいたいこと

 「自分(または自分の子ども)の特徴を知るために、知能検査を受けたい(受けさせたい)」と思っている人たちに、知っておいてもらいたいことがあります。
 それは、知能検査には「リスク」もある、ということです。具体的には、「自分の知能を調べられ、その結果を知らされること」に強い苦痛を感じる人もいる、というリスクです。

 知能検査では、いろいろな種類の「考える力」の高低を調べます。このため、知能検査を受けた結果、「◯◯の力が思っていたよりも低かった」といったように、その人の苦手さがはっきりと「見えてしまう」ということが当然起こりえます。

 そして、自分の苦手さをはっきりと示されることで、激しく動揺したり落ち込んだりする人もいます。検査を受ける前は「自分には“ちょっと”苦手な部分があるかも」という程度に思っていた人が、検査を受けてみたら想像以上に苦手さの目立つ結果が出て落胆するという場合もあります。

 もちろん、苦手さがわかると対処法も考えやすくなる場合が多いです。しかし、「自分の苦手さに直面するかもしれないけれど、それでもかまわない」という心の準備ができていないのに検査を受けると、検査結果に動揺しすぎて、対処法を考える余裕も持てなくなることがあります。

 だから、検査を受けたい(あるいは子どもに受けさせたい)人には、「“苦手さをはっきりと示されるかもしれないこと”への心の準備ができているかどうか」を考えていただきたいです。なお、「検査を受けたいけれど、結果を知るのが怖くて心の準備が難しい」という場合、当センターでは「検査をするべきかどうかの相談」も承りますので、お困りの際はどうぞお電話くださいませ。

 ※ 本エッセイは継続的に更新されます。毎回、発達障害やそれに関連するお悩みをテーマとし、そのお悩みの理由や対処法を考える上で役立つ知識・考え方などをご紹介いたします。