知能検査の「デコボコ」についての、よくある誤解

 

 「発達障害のある人は、知能検査の結果の点数が『デコボコ』になる」
 というのは、誤解です。

 「発達障害があるかどうかが気になるなら、知能検査を受けよう。その結果の点数に『デコボコ』があったら(点数の高い部分と低い部分の落差が大きければ)、発達障害があるということだ」
 と思っている人が、もしこの記事を読んでいるなら、はっきりとお伝えしたいです。それは誤解です。

 発達障害のある人の中には、知能検査の点数がデコボコになる人「も」います。しかしそれは発達障害の本質的な特徴を示すものではありません。
 点数のデコボコがまったくないけれど、発達障害の特徴は明確にある、という人も珍しくありません。逆に、デコボコはあるけれど発達障害ではない、という人も珍しくありません。

 そして、「知能検査の点数のデコボコ=発達障害がある証拠」という間違った情報を信じてしまった人は、

 「知能検査を受けて、その結果を説明されるとき、『デコボコがあるかどうか?』ばかりに気を取られる」
 「このため、検査結果の具体的な内容は、あまり頭に入ってこない」

 という状態におちいりやすいかもしれません。

 つまり、検査の結果の説明を受けても、「デコボコがあったから発達障害なのだろう」または「デコボコがなかったから『普通』なのだろう」といった間違った理解しかできず、「デコボコの有無以外のいろいろな内容」は全然印象に残らなかった――という状態におちいりやすいかもしれません。

 せっかく検査を受けたのに、その結果の具体的な内容はよくわからず、自分の特徴について間違った理解をして終わる……となったら、ものすごくもったいないです。だからこの「よくある誤解」について、「これは誤解なのだ」という認識が、もっと世の中に広まってほしいと思います。

 なお当センターでは、「以前知能検査を受けたことがあるけれど、その結果説明を正確に理解できている自信がない」という人の相談も承っております。お困りの際はどうぞお電話くださいませ。

 ※ 本エッセイは継続的に更新されます。毎回、発達障害やそれに関連するお悩みをテーマとし、そのお悩みの理由や対処法を考える上で役立つ知識・考え方などをご紹介いたします。