前回、「情報不足によって、〝発達障害があるかどうか〟の厳密な判定が、どうしても難しいときもある。ただ、厳密な判定ができなくても困りごとに対処できる、という場合もよくある」と述べました(https://tokyocare.jp/?p=2396)。
この話について、「発達障害の有無が厳密にわからないと、困りごとに対して〝障害がある人向けの対処法〟を実施するべきかどうかがわからないのだから、やはり厳密な判定は重要では?」と思う人もいるかもしれません。
しかし、「障害があるなら、◯◯◯◯をすればうまくいく」といったような、「障害のある人が行えばほぼ確実に効果がある対処法」は、そもそも存在しません。なぜなら、障害のある人の特徴は一人ひとり細かく違っているからです。その「個別性」に基づいた対処をしなければ、たいていは効果が出ません。
(当然、「障害のない人」の特徴も一人ひとり違い、困りごとに対処するときは「個別性」に基づいた対処が必要です)
つまり、「障害の有無が厳密に判定できれば、〝障害がある人向けの対処法〟と〝障害がない人向けの対処法〟のどちらが合っているかがわかり、うまくいく」……というふうに、話が単純に片付くことはありません。
そして、発達障害の有無の厳密な判定が難しいときも、「その人の個別性」を把握することは可能です。「障害の有無の判定に必要となる情報」を忘れてしまっている人でも、「これまでの人生で何があったか」はだいたい覚えているわけですから、それを詳しく振り返っていくことで、「その人らしさ(=個別性)はどのようなものか」をある程度把握することはできます。それが把握できれば、困りごとへの対処はかなりやりやすくなります。
逆に、「発達障害なのかどうか」をはっきりさせることだけに固執して、「その人らしさ」を振り返ろうとしなければ、困りごとはなかなか改善しません。
※ 本エッセイは継続的に更新されます。毎回、発達障害やそれに関連するお悩みをテーマとし、そのお悩みの理由や対処法を考える上で役立つ知識・考え方などをご紹介いたします。