知能検査を過大評価しない方がいい

 勉強・仕事・人間関係などの、「生活の中での課題」がうまくいかないとき、その原因を知りたくなるのは自然なことだと思います。そして、「その人の知能の特徴」が原因になっていることは、確かにあります。「Aさんは、知能面で◯◯という独特さがある。その独特さがあるから、△△という仕事でつまずきやすい」といったように。

 ただし、「知能の特徴」と「うまくいかなさ」はほとんど関係がない、という場合もあります。「うまくいっていないのは、知能に何らかの独特さがあるから」ではなく、知能とはまったく違うところに原因がある――そのようなケースはめずらしくありません。
(例えば、仕事がうまくいかないとき、その主な原因が「周りの人よりも経験不足だから」である場合は多いです。また、「疲れすぎていて、一時的に集中力が低下しているから」である場合も多いです)

 このため、知能検査を受けても、「検査結果は『その人の困り事』とほとんど関係がない」・「このため、検査結果が、困り事に対処するための手がかりにはならない」という展開になることはありえます。もちろん、手がかりになる場合「も」ありますが、確実にそうなるとは言えません。

 しかし、知能検査を受けたら、「せっかく受けたのだから、検査結果を何らかの形で活かさなければもったいない」という気持ちが強まることもあるかもしれません。その結果、実際は「知能」と「うまくいかなさ」にはほとんど何の関係もないのに、そのことを認められなくなってしまう……という人も多いかもしれません。

 そのように、「絶対、知能に何かあるはずだ」と固執すると、「うまくいかなさ」の本当の原因をどんどん見失うことになります。だから、「知能検査を受ければ、つまずきの原因が確実にわかるはずだ」といったような、検査への過大評価はしないことが重要です。

 ※ 本エッセイは継続的に更新されます。毎回、発達障害やそれに関連するお悩みをテーマとし、そのお悩みの理由や対処法を考える上で役立つ知識・考え方などをご紹介いたします。

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