続々・「勉強の苦手さ」と「抽象的なものを理解する力」の関係

 前回も前々回も、「抽象的なものの理解に苦手さがあると、学校の勉強でつまずく場合が多い」という話をしてきました(https://tokyocare.jp/?p=2081)。

 ただここで一点、強調しておきたいことがあります。それは、「抽象的なものの理解が得意でも、学校の勉強でつまずく人はいる」ということです。

 ものすごく当たり前の話をしますが、「学校の勉強でつまずく理由」はいろいろあります。抽象的なものの理解が得意で、英語の文法や数学の公式の意味内容をスムーズに把握する力のある人でも、例えば以下のような理由で勉強につまずくことは当然ありえます。

 「自分で勉強の計画を立てたことがないから、親や塾の先生が計画を手伝ってくれなくなると、成績が悪くなる」

 「体調を崩しやすいから、宿題や習い事の量が増えてくると体力がもたなくなり、成績が悪くなる」

 「家で家族が頻繁にケンカをするなどして、家庭環境が安心できる場所ではなくなっているから、勉強に集中しにくく成績が悪くなる」

 このように、つまずく理由には多くの種類があります。このため、勉強につまずいている人に対して、「あなたが勉強につまずくのは『抽象的なものの理解が苦手だから』に違いない!」という「安易な決めつけ」はしないことが重要です。

 もしその人のつまずきの理由が他にあって、「抽象的なものを理解する力」はむしろ高めだったとしたら、この「決めつけ」は「その人の持っているすぐれた力を完全に無視してしまう」という点で問題なのです。  なお当センターでは、「勉強につまずいている理由の振り返り」も、様々な観点から慎重に行なっています。お困りの際はどうぞお電話くださいませ。

※ 本エッセイは継続的に更新されます。毎回、発達障害やそれに関連するお悩みをテーマとし、そのお悩みの理由や対処法を考える上で役立つ知識・考え方などをご紹介いたします。

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