「知能検査を受けるだけでは、発達障害があるかどうかはわからない」――このことは、数年前に比べれば、だいぶ世の中に広まってきているのではないかと感じます。
では、知能検査が発達障害の特徴を調べる上でまったく役に立たないのかというと、そうではありません。発達障害の特徴が、知能検査の結果に表れる「ときもある」からです。
ただし、ものすごくくっきりと表れるわけではなく、あくまでも「チラッと見える」という程度の表れ方をします。また、発達障害の特徴にはいろいろな種類のものがあるので、どの特徴がチラッと表れるのかは人によって異なります。
さらに、発達障害の特徴は、知能検査の結果に表れる「ときもある」ものですから、「表れないとき」もあります。つまり、発達障害のある人が知能検査を受けても、結果に「発達障害らしい部分」がまったく見られない、という場合もあるのです。
以上のことから、発達障害のある人たちが知能検査を受けても、その結果は人によってかなり違うものになります。「◯◯の特徴がチラッと表れる人」・「△△の特徴がチラッと表れる人」・「発達障害らしさがまったく表れない人」……といったように、ひとりひとりの結果はバラバラになります。
なお、検査結果に表れる「発達障害らしい特徴」が、「発達障害に似ているけれど違う特徴」である可能性もあります(前述の通り、障害の特徴は「くっきり」とは表れないからです)。「発達障害の特徴なのか、似ているけれど違う特徴なのか」を判別するためには、検査結果を見るだけではなく、その人の過去〜現在の状態などについて細かく聞き取る必要があります。
まとめると、知能検査は発達障害の特徴そのものをダイレクトに調べられるものではなく、特徴について知るための「ヒント」を与えてくれるものだということです。検査結果はあくまでも特徴の理解のヒントであって、ものすごく本質的なものではない、というとらえ方が重要です。
※ 本エッセイは継続的に更新されます。毎回、発達障害やそれに関連するお悩みをテーマとし、そのお悩みの理由や対処法を考える上で役立つ知識・考え方などをご紹介いたします。