知能検査を受けた人は、基本的に、自分のIQ(知能指数)を知らされることになります。そして、「自分のIQを知ってしまってもいいかどうか」については、検査を受ける前によく考えておくべきです。子どもに知能検査を受けさせたい親御さんは、「自分の子どものIQを知ってしまってもいいかどうか」について、よく考えておくべきです。
IQは、「検査の問題がどのくらい多く解けたか」によって決まります。多く解けるほどIQは高くなります。
そして、かなりメジャーな知能検査である「WAIS」や「WISC」の結果として知らされるIQには、「平均との差を示す」という性質があります。「同年代の人たちの平均に比べて、どのくらい多く問題が解けたか?」が、IQを見るだけでわかってしまうのです(IQが100を超えていれば平均より高く、100を下回っていれば平均より低い、ということがわかります)。
人によっては、IQが平均よりも低かったとき、そのことを知って深く傷ついてしまう場合もあります。「思っていたよりも低かった……」と落ち込む気持ちを、検査後に長期間引きずってしまう可能性もあります。
だから、知能検査を「気軽に受けてみること」は、しない方がいいです。「自分の(または自分の子どもの)IQを知って傷つくかもしれない。そのリスクを引き受けられるか?」と考えて、もし引き受けられなさそうなら、引き受けられるようになるまでは検査を受けない方がいいです。
なお、「IQの高さ」と、「仕事や勉強などの『生活の中での課題』をこなす能力の高さ」は、別物です。
知能検査で調べられる「知能」は、仕事や勉強などに活用される要素のひとつではあるので、IQの高い人(=知能が高い人)がそのすぐれた知能を仕事や勉強に活かせる場合は確かにあります。しかし、仕事や勉強では知能「以外」のさまざまな要素――安定した感情・健康な身体・周りの人との信頼関係など――も必要になるため、IQが高ければ仕事も勉強もできるかというと、そうとは限りません。
このため、自分や自分の子どもの能力について考える際、IQばかりにとらわれないようにすることも重要です。
※ 本エッセイは継続的に更新されます。毎回、発達障害やそれに関連するお悩みをテーマとし、そのお悩みの理由や対処法を考える上で役立つ知識・考え方などをご紹介いたします。