性格は無理に変えようとしない

前回のエッセイ(https://tokyocare.jp/?p=946)で、「コミュニケーションの苦手さ」について触れました。今回はそれに関連して、「性格」についての話をまとめてみたいと思います。

コミュニケーションが苦手な人の中には、「性格がとても内気」という人も多いかもしれません。そのような人が他人と自分を比べて、「内気な性格を変えなければいけない」とあせってしまう場合もあるかと思います。

しかし、コミュニケーションの苦手さを克服しようとして、自分の性格まで否定するのは望ましくありません。「内気だからダメなんだ」「ガンコだからダメなんだ」などと考えてしまうと、自分の持ち味を認めてあげられなくなるからです。

内気な人は内気だからこそ深く内省できるかもしれませんし、ガンコな人はガンコだからこそ一つの仕事にじっくり集中できるかもしれません。

コミュニケーションは確かに大切です。しかし、人間全員が「明るくて、社交的で、誰とでも調子を合わせられる人」になる必要などありません。無理してそのような人間になろうとすると、いつも「自分の性格はダメなんだ」と悩み続けることになります。そして自信を失う場合もあります。

皮肉なことに、そうやって自信を失った結果、ますますコミュニケーションができなくなる場合もあるかもしれません。

コミュニケーションの苦手さを克服する上で何よりも大事なのは、「自分の性格そのものは否定しない」という心構えではないでしょうか。自分の持ち味はしっかり肯定し、その上で少しずつ人づきあいの練習をしていく。そうやって自分を追い詰めないことが大切であるように思います。

※ 本エッセイは継続的に更新されます。毎回、発達障害やそれに関連するお悩みをテーマとし、そのお悩みの理由や対処法を考える上で役立つ知識・考え方などをご紹介いたします。