発達障害支援においては、よく「スモールステップ」という考え方が重視されます。いきなり難しいことにチャレンジするのではなく、まず簡単な課題に取り組んで、それを達成したらもう少し難しめの課題に取り組んで……と、無理のないペースでの成長を目指す考え方です。
これは発達障害支援に限らず、人が難しい課題に取り組む場面全般において重要な考え方ではないでしょうか。「簡単なことから一歩ずつ取り組んでいけばいい」と考えることで、あせらずにじっくりと頑張れる、という人は多いように見受けられます。
逆に、「このくらいはすぐにできて当然」と誰かに言われたとき、大部分の人は落ち込みます。例えば割り算の苦手な子どもが、親や先生から「三年生になったら割り算くらいできて当然だよ」と言われたら、深く傷つく場合も多いかと思います。大人でも「このくらいの仕事はできて当然」と言われたら、強いプレッシャーを感じてしまいます。
人によって得手不得手は違います。ある人にとっては「できて当然」のことも、他の人にとってはとても難しく感じられたりするものです。
ただ、人によってはそのように「できて当然」と言われたとき、その言葉を真に受けて「できて当然なんだ。じゃあ、できない自分は本当にダメなんだ」と思い込んでしまうこともあります。特に、自閉症スペクトラム障害(ASD)の傾向が強い人には人一倍「言葉を真に受けやすい」という人も多いため、そのような思い込みに苦しむ場合は決して珍しくありません。
「できて当然のことが自分にはできない」と考えているとき、人はなかなかやる気を出せません。だからこそ、難しい課題に取り組むときは、「簡単なことから一歩ずつ」という考え方が大切です。
当センターでも、そのような「一歩ずつの取り組み」をしっかりとお手伝いして参ります。お困りの際はどうぞお電話下さいませ。
※ 本エッセイは継続的に更新されます。毎回、発達障害やそれに関連するお悩みをテーマとし、そのお悩みの理由や対処法を考える上で役立つ知識・考え方などをご紹介いたします。