「自由」に苦しむこともある

 大学に通うのがつらいという学生さんは少なくありません。大学生活には「自由」「気楽」というイメージがあるかもしれませんが、実は大学という環境が「自由」だからこそ苦しい、と感じている方も多いように見受けられます。

 「自由な環境」は、「自分がやるべきことを教えてもらいにくい環境」でもあります。例えば小学校縲恪mZでは、先生から「遅刻をしないように」「○日までに宿題を出すように」と、「やるべきこと」をはっきりと教えてもらえます。しかし大学では基本的に、自分が何をするかは自分で決めることになります。それを苦痛に感じる方も、大勢いらっしゃるのではないでしょうか。

 何の授業を履修するか、何のアルバイトをするか……いろいろと迷ってしまって決められない場合も多いかもしれません。そして、周りの人から「適当に決めればいいんだよ」と助言され、その助言によってますます困ってしまう場合も、決して珍しくはないと思います。

 「適当に」という助言は、時に人を困惑させます。その助言だけでは、「今、優先的にやるべきことは何か」がわかりにくいからです。

特に、自閉症スペクトラム障害(ASD)の傾向が強い人には、「自力でものごとの優先順位をつけるのが苦手」という方も多いです。このため、「適当に」ではなく「今は○○を優先するといいよ」という具体的な助言をもらった方が、頑張れることも多いように見受けられます。

 大学のような「自由な環境」で力を発揮するためには、「優先してやるべきことを絞ってくれる相談相手」を見つけることも大切です。「今は○○を優先すべき」という助言があるからこそ、目の前の「○○」に集中して充実した生活を送れる、という場合も多いと考えられます。
 
例えばある学生さんが、「単位を取らなきゃ」と多くの授業を履修し、どの勉強から手をつけるべきかわからなくなったとします。そのようなとき、「一気に全部やろうとせず、まずは必修科目の勉強だけを始めてみよう」といった助言が、その人のやる気や集中力を高めることもあります。

 もちろん当センターでも、そのような助言も含めたサポートができるよう努めて参ります。お困りの際はどうぞお電話下さいませ。


※ 本エッセイは継続的に更新されます。毎回、発達障害やそれに関連するお悩みをテーマとし、そのお悩みの理由や対処法を考える上で役立つ知識・考え方などをご紹介いたします。

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