目標は具体的に

「発達障害は珍しいものではない」といった言葉を、本や雑誌でよく見かけます。そのような言葉をきっかけに、「自分も発達障害では」と感じる方も多くいらっしゃるのではないかと思います。

そのようなとき、「障害があるなら、とにかく何か対策をしなければならない」と焦る場合もあるかもしれません。ただ、そこで重要なのは、「何のために対策をするのか」をしっかりと考えることではないでしょうか。

言いかえると、「目標」がはっきりしないままで「とにかく対策を」と考えてしまうと、上手くいかない場合が多いように見受けられる、ということです。

自分は発達障害かも、と感じたとき、焦って「目標」を見失うことは珍しくないかと思います。「このままでは社会になじめない」といった「漠然とした不安」ばかりが浮かんでしまうと、「そもそも自分は『どうなりたい』のか?」「これから『何がしたい』のか?」という具体的な目標を意識しにくくなるかもしれません。

自分が望んでいるのは、「社会になじむ」などという、実態のはっきりしない未来なのでしょうか。それを目指すとかえって苦しくなることが多いと思います。何ができれば「社会になじんだ」ことになるのか、その基準が非常に曖昧だからです。

「事務作業のミスを減らして、もっと仕事を任されるようになりたい」「妻との口げんかを減らして、週末は一緒に映画などを見て楽しみたい」といった具体的な目標を定めていった方が、「では、そのために何をすればよいか」を判断しやすくなると思います。大切なのは、「とにかく今のままではいけない」と、漠然と自分を否定するのをやめることではないでしょうか。

もちろん、一人では目標設定が上手くいかないという場合もあるかもしれません。当センターでは「目標設定のためのアドバイス」も実施しております。お困りの際はどうぞお電話下さいませ。

※本エッセイは継続的に更新されます。毎回、発達障害やそれに関連するお悩みをテーマとし、そのお悩みの理由や対処法を考える上で役立つ知識・考え方などをご紹介いたします。