「指示を聞くこと」の苦手さについて

テレビや雑誌の発達障害特集などでは、「仕事のミスを繰り返すこと」が、ありがちな発達障害の特徴として紹介される場合が多いです。決して悪気はないのに、上司や同僚から指示された通りに行動できず、何度も失敗してしまう。そのようなお悩みを抱えた方は珍しくありません。

ミスを繰り返す原因には様々なものがあります。その中でも「口頭での指示を聞くことの苦手さ」によって失敗しがちという方は、かなり大勢いらっしゃる印象を受けます。このため、失敗を防ぐには、「自分に“聞くことの苦手さ”はないか?」と振り返ることも重要です。

「聞く力」には個人差があります。一度に多くのことを聞いて覚えるのがどうしても苦手という方もいますし、指示を聞いている途中によく集中が途切れるという方もいます。「発達障害と診断されていなくても、そのような苦手さはかなり強い」という場合もあります。

自分にそのような特徴があると気づけないでいると、「自分の努力が足りないせいだ」と感じ、苦しんでしまうときもあるかもしれません。しかし、「努力の問題ではなく、もともと聞く力に苦手さがある」とわかれば、対処しやすくなる場合が多いです。

対処法の例として、「指示された内容はすぐにPCのリマインダーに記録する」・「自分のやるべきことを書き込んだ“自分専用のスケジュール表”を作る」といったものがあります。つまり、大事な情報を「見える化」するわけです。大切なのは、漠然と「ちゃんと聞かねば」と張り切ることではなく、自分にとって負担の少ない対処法を考えることではないかと思います。

なお、失敗の理由を振り返り、自分に合った対処法を見いだすための手段として、「自分の特徴を調べる検査を受ける」というものもあります。当センターでも、お悩みの内容に応じて検査等を実施しておりますので、お困りの際はどうぞお電話下さいませ。

※ 本エッセイは継続的に更新されます。毎回、発達障害やそれに関連するお悩みをテーマとし、そのお悩みの理由や対処法を考える上で役立つ知識・考え方などをご紹介いたします。

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