「つらい」と言えるのは一つの能力

「不安だ」「憂うつだ」といったネガティブな感情が出てきたとき、その感情を全て自分一人で解消する必要はありません。「このつらい気持ちを何とかしたい」と誰かに話し、助けを求めることも重要です。他者に弱みを見せず、まったく助けを求めずに生きていくことは、どんな人であっても不可能かと思います。

しかし、「助けを求めること=良くないこと・みっともないこと」と考えがちな人は、割と大勢いらっしゃるのではないでしょうか。

「これは良いこと」「これは良くないこと」と、何事に対しても白黒つける考え方をしがちな人は珍しくありません。その考え方により「助けを求めること=良くないこと」と断定している人が、何でも自力で解決しようと張り切りすぎる場合もあります。

その結果、「助けを求めるスキル」をなかなか高められない場合もあります。つまり、

「“助けてほしい”と誰かを頼った経験が少ないせいで、助けを求めるときの『言い方』や『段取りの立て方』がわからない」

という人も、決して珍しくないわけです。

このため、「毎日つらいけれど、自力でなんとかしなければいけない」と考えがちな人は、一度「自分は『自力でやること』にこだわりすぎていないか?」と振り返ってみてはいかがでしょうか。人に助けを求められることも一種の能力であるかと思います。「何でも自力でやること」を少し諦めてみると、その新しい能力を伸ばしやすくなるかもしれません。

なお当センターでは、上記のような「助けの求めにくさ」などに関するご相談も承っております。お困りの際はどうぞお電話下さいませ。

※ 本エッセイは継続的に更新されます。毎回、発達障害やそれに関連するお悩みをテーマとし、そのお悩みの理由や対処法を考える上で役立つ知識・考え方などをご紹介いたします。