「自分の特徴を知るために、知能検査を受けたい」
「知能検査を受ければ、自分のことがよくわかるに違いない」
昨今、そのように考える方々は、昔よりも増えているかもしれません。ただ、自分の特徴をくわしく知るためには、「知能検査では調べられない要素」についても振り返ることが重要です。
人間がものごとを考えるときの「頭の使い方」は、一人ひとり違います。そして知能検査は、「その人の頭の使い方には、どのような傾向があるのか?」を調べるものです。
一方で、「知能検査で調べられないこと」はたくさんあります。例えば、人間の「感情」については調べられません。つまり、検査を受ける人が感じている不安や焦りの度合いなどは調べられません。
また、当然の話ですが、「検査を受ける人がどのような『環境』にいるのか」についても調べられません。つまり、「その人が所属している環境(学校・職場・家庭など)がどういうところで、環境がその人にどう影響しているか」は、調べられません。
そして人間の特徴というものは、「頭の使い方」・「感情の状態」・「環境の影響」……などなどの、様々な要素がからみ合って作られるものです。このため、「自分にはどのような特徴があるのか?」を考えるときに、頭の使い方「だけ」を振り返っても、充分に説明がつかない場合が多いです。
つまり、知能検査はあくまでも人間の特徴の「一部」を調べるものだということです。自分の特徴をくわしく知るために大切なのは、「その『一部』が他の要素とどう関係しているか?」というところまで、じっくりと振り返ることではないかと思います。
なお当センターでは、「『知能検査の結果』と『それ以外の要素』がどう関係しているか」の振り返りのお手伝いも、もちろん行なっております。お困りの際はどうぞお電話下さいませ。
※ 本エッセイは継続的に更新されます。毎回、発達障害やそれに関連するお悩みをテーマとし、そのお悩みの理由や対処法を考える上で役立つ知識・考え方などをご紹介いたします。