前回、「体調が悪いときや気持ちが不安定なときは知能検査を受けるべきではない」という話をしました(https://tokyocare.jp/?p=2292)。そのようなときに検査を受けてもその人の特徴を正確に調べられない、という話でした。
その話に補足をします。当然のことですが、知能検査を受ける人が検査への「意欲」を待てていないときも、特徴は正確に調べられません。つまり、「やる気が出ないときは知能検査を受けるべきではない」ということです。
知能検査では、時間をかけてたくさんの問題を解かなければいけません。このため、「がんばって問題を解こう」という意欲が、ある程度は必要になります。
意欲がわかないときに知能検査を受けた人は、本来は解けるはずの問題でもすぐに「解けない」とあきらめてしまう場合がよくあります。
そうなると、例えばその人が「実際はIQが100程度の人」であっても、そのときの検査結果のIQは80台になる、といったことが起こりうるわけです。
特に、「本人は知能検査を受けたいと思っていないのに、家族などから『知能検査を受けるべきだ』と強引に説得されて、しぶしぶ検査を受けた」という場合、上記のように実際のIQなどが正確に調べられなくなることが多いです。「しぶしぶ検査を受けている人」は、当然ですが検査の問題をしっかり解こうとする意欲が低いので、本来解けるはずの問題でどんどん失敗する場合もあります。
だから、もし知能検査を受けることを誰かに勧めるのなら、「その相手には検査を受ける意欲がどのくらいあるのか?」をよく考えるのが重要です。知能検査は、「とにかく検査を受けさえすれば正確な結果がわかる」という単純なものではありませんから。
※ 本エッセイは継続的に更新されます。毎回、発達障害やそれに関連するお悩みをテーマとし、そのお悩みの理由や対処法を考える上で役立つ知識・考え方などをご紹介いたします。