続・ミスが多いのは「いつから」ですか?

 前回、「ミスが多いなら、それが“いつから”だったのかを振り返るのが重要」と述べました。もし「子どもの頃からずっと多かったのではなく、ある時期から増えた」のであれば、ミスの後天的な要因が明確に存在する可能性が高い、という話でした。
 では、「いつから」を振り返ったとき、もし「やはり子どもの頃からずっとミスが多かった」とわかったら、そのときはどうすればいいでしょうか?

 そのような場合も、「自分はもともとミスをする人間だからどうしようもない」といった、漠然とした理解の仕方はしない方がいいです。重要なのは、「自分の頭の中で何が起こっているからミスが生じるのか?」を、くわしく理解していくことです。「自分の頭の中では〜〜が起こりやすい、その結果としてミスをしやすい」といったくわしい理解ができると、ミス対策もしやすくなります。

 くわしい理解とは、例えば、以下のような理解のことです。

・ 「自分は連想力が高く、頭の中に自然と多くの事柄が浮かぶ。だからそれらに気を取られるせいで予定などを忘れがち」
・ 「自分は興味のあることに深く集中しやすい。だからそれに注意が向き始めると、他の大切なことに注意が向かなくなり、見落としや聞き漏らしをしがち」

 このように、「ミスが起こる仕組み」を丁寧にイメージできれば、

・ 余計なことが頭に浮かんで予定を忘れがちなら、予定はすべて1枚の予定表にまとめて書いて、その1枚の内容以外のことをあまり考えなくてもいい状態にする
・ 興味のあることばかりに注意が向いて他のことを見落としがちなら、作業や勉強のときに使う机の周りには、好きな娯楽関係のものをいっさい置かない

 などの対策の方針が決まるわけです。
 「自分はもともとミスをする人間だ」と大ざっぱに考えていたら、このような方針は決められません。だから具体的な自己理解が重要なのです。

 なお当センターでは、この「具体例な自己理解」のお手伝いももちろん行なっております。お困りの際はどうぞお電話下さいませ。

※ 本エッセイは継続的に更新されます。毎回、発達障害やそれに関連するお悩みをテーマとし、そのお悩みの理由や対処法を考える上で役立つ知識・考え方などをご紹介いたします。