「好きなように」の難しさ

学校の先生や保護者の方々が抱えがちなお悩みに、「子どもの意志をどのくらい尊重するか」というものもあるのではないでしょうか。

大人の意向を子どもに押しつけず、「あなたの好きなようにやってみていいよ」と伝えることは、とても大切なことだと思います。やりたいことを自由にやってみることで、その子の個性が存分に活かされる場合もあるためです。

しかし、「好きなように」と言われると困ってしまう子も少なくありません。「好きなように」ということは、「やり方を自分一人で考えなければいけない」というプレッシャーにさらされることでもあるからです。

あまりに自由すぎる環境よりも、「やるべきことを丁寧に教えてもらえる環境」の方が力を発揮しやすい、という子も大勢います。勉強のやり方や友達との付き合い方を詳しく教えてもらい、それを実践することで「できた」という手ごたえを得る。そのような過程を通して子どもの自信が高まることは、決して珍しくありません。

ですので、子どもと関わる際は、「その子がどの程度『具体的なアドバイス』を必要としているか」に注意を向けることも重要です。「自由すぎる環境は苦手だけれど、具体的にアドバイスされたことはしっかりと頑張れる」という子は珍しくなく、そのような特徴も尊ぶべき個性の一つだと思います。

もちろん、「どの程度のアドバイスがあると頑張れるか」を判断するのが難しい場合もあるかもしれません。そのようなとき、その子の特徴を詳しく調べる検査等が役立つこともあります。


※ 本エッセイは継続的に更新されます。毎回、発達障害やそれに関連するお悩みをテーマとし、そのお悩みの理由や対処法を考える上で役立つ知識・考え方などをご紹介いたします。