大事なことは「強調」を

「大事なことをよく見落とす・聞き漏らす」というお悩みを抱えた方は珍しくありません。例えばお仕事において、「書類の細かいところを確認するのが苦手」・「上司からの指示を聞き逃すことが多い」という方は大勢いらっしゃるのではないかと思います。

そのような苦手さに悩んだ際、漠然と「集中しよう」と意識するだけでは上手くいかないことが多いかもしれません。見落としや聞き漏らしは「意識」だけが原因で起こるものではないからです。「見落とし・聞き漏らしをしやすい環境」が原因になっている場合も多いのではないでしょうか。

「見落とし・聞き漏らしをしやすい環境」の例としては、「多くの情報を一気に見聞きしなければならない職場」などがあります。一日に何件もメールが届いたり、社員同士でこまめに打ち合わせをしなければならなかったりすると、「集中しよう」と気を張るだけでは上手くいかなくて当然なのではないかと思います。誰であれ、そこまで完璧に集中を維持することはできません。

そのような状況でミスが続いたときは、「自分は怠けているのだ」と思い詰めるのではなく、「集中しやすい環境」を作っていくことが重要です。具体的には、「大事な情報が『強調』された環境を作ること」が重要かと思います。

「強調」とは、「担当業務の締め切りを大きな字で付箋に書き、机に貼っておく」・「新しい予定が入ったらすぐにスマホのリマインダーに入力する」といった工夫のことを指します。つまり、大事な情報が「自然と目につく環境」を作っていくわけです。

ミスの原因を「自分の性格や気持ちの問題」ではなく「環境の問題」と考えてみることで、対策が上手くいく場合は多いです。なお、当センターではそのような「環境作り」に関するアドバイス等も行っております。お困りの際はどうぞお電話下さいませ。


※ 本エッセイは継続的に更新されます。毎回、発達障害やそれに関連するお悩みをテーマとし、そのお悩みの理由や対処法を考える上で役立つ知識・考え方などをご紹介いたします。