「自分は普通の人間だ」と言い切れる人なんているのだろうか、とよく考えます。誰にだって変わったクセが多かれ少なかれありますし、得意なことや苦手なことも人によって違います。
だとしたら、人間にとって大事なのは「普通になろうとすること」よりも「自分の特徴を知ること」「それに合わせた生き方を考えること」なのかもしれません。
自閉症スペクトラム障害、という名前の発達障害があります。
「他人とのコミュニケーションの苦手さ」や「特定のものごとへの強いこだわり」を特徴とする発達障害で、その特徴を有する人は大人/子どもを問わず決して珍しくありません。
「スペクトラム」とは「連続体」という意味です。この発達障害は、「障害がある人」と「まったくない人」にくっきりと分かれるものではありません。発達障害の特徴がかなり強い人、やや強めの人、少しだけある人……と、障害の度合いがまさに「連続体」となっています。
ですので、「これまで乳幼児健診や病院での診察などで、発達障害だと言われたことがない」というお子さん(成人の方も)でも、人によっては自閉症スペクトラム障害の特徴を「多少」持っている、という可能性はありえます。
本やネットで見られる「発達障害の特徴」に自分がぴったり当てはまっていなくとも、「多少」「部分的に」それがあることで、生きづらさを感じてしまう場合もあるかもしれません。
「多少」「部分的に」だからこそ、その特徴があることになかなか気づけず、無理して「普通」になろうとしすぎて、上手くいかずに落ち込んでしまうこともあるかもしれません。そういうときにこそ、「普通を目指すこと」よりも「まずは自分の特徴をくわしく知ること」の方が大事になってくるように思います。
当センターでは、各種心理検査等を通して、その「特徴を知るお手伝い」、そして「特徴に合った生き方を考えるお手伝い」をしております。困ったときはどうぞお気軽にお電話下さいませ。
本エッセイは継続的に更新されます。毎回、発達障害やそれに関連するお悩みをテーマとし、そのお悩みの理由や対処法を考える上で役立つ知識・考え方などをご紹介いたします。