お子さんへの思いを伝えるために

以前のエッセイで、大事なものごとを「言葉で伝えること」の意義について述べました(https://tokyocare.jp/?p=1011)。「わざわざ言わなくてもわかってくれるだろう」と決めつけず、思いを言葉にすることはとても大切です。

とはいえ、大事なことほど「言わなくてもわかってくれる」と考えがちかもしれません。特にありがちなのは、親御さんが「お子さんへの思い」を言葉にし忘れる、という場面ではないかと考えられます。

例えば、お子さんが頑張れたことについて「~~を頑張れたね」と言葉にして伝えることは、その子の自信を高める上でとても大切です。一方で、「子どもが頑張っていることはよくわかっているし、そういう親の思いは言わなくても伝わるだろう」と考えがちな親御さんもいらっしゃるかもしれません。

親御さんの愛情は、言葉にしなくても確かに存在するものだと思います。しかし、確かに存在しているからこそ、「それを言わなかったために、子どもに伝わらなかった」という悲しい事態を防ぐことが重要ではないでしょうか。

もちろん、「伝え方がわからない」とお悩みの親御さんも大勢いらっしゃるかと思います。そのようなときは一人で苦しみを抱え込まず、「思いがお子さんに伝わる言い方」について誰かに相談することが重要と考えられます。言い方をアドリブで考えるのは決して簡単なことではないため、困ったときは「誰かと相談し、言い方を前もって検討しておくこと」が大切です。

「子どもを愛しているのに、その思いを上手く言えない」という悩みは、珍しいものではなく、責められるべきことでもありません。当センターでも、そのような親御さんの悩みについての相談をお受けしております。お困りの際はどうぞお電話下さいませ。


※ 本エッセイは継続的に更新されます。毎回、発達障害やそれに関連するお悩みをテーマとし、そのお悩みの理由や対処法を考える上で役立つ知識・考え方などをご紹介いたします。